紹介状を受付で出すと、直ぐに名前を呼ばれた。
女性の先生だった。レントゲン写真を見て…
「大腿骨頸部の骨折ですね。ココが骨折してるところね。」
現実を受け入れれず、先生の声が入ってこない。
「本当に折れてるんですか?私昨日レッスン2本もやったし…」
「骨折のズレが少ない時は動けることもあるけど、かなり痛いでしょ?横からの強い衝撃で押されて、頸部の上の所が折れて噛んでる状態です。」
やっとレントゲンで自分の目で骨折場所が確認できた。
「今日はこれまで何か食べたりしましたか?」
「炭酸水少し飲んだだけで何も食べてません。」
「じゃ、このまま何も食べたり飲んだりしないでくださいね。足もなるべく動かさないでくださいね。検査終わったら手術方法などもう一度説明します。」
しゅ、しゅ、手術!?
ここではじめて手術することを知った。
それも、今日、これから。。
後から調べると大腿骨頸部骨折は骨がくっつきにくい場所なので手術が基本のようだ。
手術に向けて血液検査やMRI、色々な書類の記入、同意書のサイン。麻酔の説明、家族への連絡。
不安と動揺の中で車椅子で移動しながら言われるがままやった。
検査後、再び診察室に呼ばれた。
「骨折のズレも少ないので、骨接合術で行います。チタンの固定材料で…」
説明を受けながら涙が出てきた。
これは本当に現実なのか?手術?麻酔?入院?パニックになる。
「ビックリするよね。。まだ若いし、運動習慣もかなりあるようなので、ちゃんと手術して治ればまた元の生活レベルに戻れますよ。」
泣きながら「ヨガもマラソンもできますか?」と聞いた。
「そうなるようにこれから手術しましょう。」
ティッシュを渡してくれながら先生は私にそう言った。
担当の看護師さんがこれからの流れを説明してくれた。ストレッチャーに寝かされ手術着を着せてもらった。体重を計ったり、色々質問もされた。
救急病院なのでみんな忙しそう。
隣に運ばれてきたストレッチャーの方の呻き声がカーテン越しから聞こえてきて怖くなった。
そんな私をみて看護師さんが…
「1番太い元気な骨が折れちゃって、かなり痛かったでしょ。かわいそうに。1人で病院に来たの?マラソンとかヨガの先生してるから回復も早いと思うよ。」と、色々話しかけてくれて少し落ち着いてきた。
13:30…病室に移動し点滴のルートをとってもらい、着圧のハイソックスを履かせてもらった。
手術時間が14:30に決まった。
1時間後には私手術してるんだ…
9時にかかりつけの病院へ向かった時は、まさか自分が14:30に手術をするなんて思ってもいなかった。心が追いつかない。
14:30…ストレッチャーに寝たままエレベーターに乗り手術室へ。
名前と生年月日を確認される。自動扉が開き色々な機械が見えた。
「怖いです…骨をトンカチでカンカンするんですよね、痛いですよね…」
「全身麻酔だから寝てる間に終わってますよ。」
そんな会話をしながら、麻酔が入る時のあの身体が鉛のように重くなる感覚は今でも覚えてる。
手術時間は60分くらい。無事終了。
16:30…病室で名前を呼ばれて目が覚める。
痛み止めを入れてるけど、足が痛い。しばらく我慢したけど痛くてたまらない。
骨より左太腿の側面の6センチくらいの傷口が痛い。
熱をもちパンパンに腫れてる。筋肉まで切ってるから痛いのは当たり前。冷や汗がでる。
ここからボルト2本を頸部に向けて埋め込んで固定したらしい。
痛くないポジションを探してみるけど、動かすと激痛。どうにも我慢できない。
ナースコールを押し、少し強めの痛み止めを点滴で入れてもらった。アイシングの氷嚢ももらった。
やっと携帯を見れるまでに痛みが落ち着いた。
連絡がついた旦那には仕事帰り病院に止めてる車の引き取りをお願いした。
息子には必要な物を届けてもらうお願いをした。流石に息子も私が手術までする大怪我だったことが分かり心配してた。
「ビーバーのライブ行けんの?」
私がめちゃくちゃ楽しみにしてた2週間後のSUPER BEAVERのZOZOマリンスタジアムのライブの心配までしてくれたw
仕事もスタジオに事情を説明しレッスンの代行をお願いした。
怪我をしてしまうと、色々な人に迷惑をかけ、お願いばかりしないといけないんだな…と思った。
この日姉がTAMBA100のレースに出てたのでIBUKIのチェックもした。順調に女子1位ですすんでた。
これまで姉には何でも話してきたけど、このタイミングてこの大怪我は流石に言えない。
私より姉はキツイはずだ!私も骨折くらい何ともないぞ!頑張らないと…と思った。
ラインでは後ろとの差が2時間30分くらいある事を伝えた。
何かやってないと泣きたくなるので、ベッドの上で忙しくしてた。
怪我があまりにもヤバすぎて、しばらく家族以外には誰にも話せなかった。
ご飯も食べれない。傷が痛い。
ベッドの上でまた泣けてきた。
つづく。。